連日の映画:V for Vendetta

V for Vendetta.うーむ.またビミョーな感じだ.っていうか,Sさん,映画のセンス悪すぎだろ…とりあえず全米でコケたのも納得.

"The Matrix"の助監督だったか映像監督だったかの監督作品だけに,映像はそこそこスタイリッシュ.でもビックリするほどcoolな映像は無い.特にSさん大絶賛だったエンディングの爆発なんて「あっ,そう」としか思えなかった.むしろ冒頭の爆発シーンの方が良かった気がする.戦闘シーンは(当然,"The Matrix"みたいな超絶ではなく抑え気味な内容だが)なかなか良かったし,音楽の使い方も(かなりベタだが)良かったと思う.

しかし,根本的にプロットが…最初に「主人公 V の超早口の小難しい演説+派手な爆発やアクションシーン」がガンガンきて,いきなり盛り上がるのだが,その後は Natalie Portman 演じる Evey の内面的な部分や,政府や V の過去等に話の焦点が移るので,正直かなりダルい.しかも政府の圧政ぶりとか歴史とか解説無しで話が進んでいって,後からチョロチョロ小出しに教えてもらえるだけなので,イマイチ話に入り込めないし.それを真剣に見ているとプロットもけっこう穴だらけだし.で,最終的に, V が主人公なのではなく, Evey (に代表される民衆)の心理の変化が主題だったようなのだが,単純にアクション映画を期待していた身としては「 Evey ってキャラ,別にいらなくね?」「剃髪する意味無くね?」みたいな気がする.そんな中,主役 V を演じた Hugo Weaving ("The Matrix"でAgent Smithを演じてたオッサン)は,素顔は一瞬たりとも画面に映らないのに内面のキャラクターを感じさせる演技を見せていた.あのふざけた仮面も,終わり頃にはけっこうカッコ良く思えるから不思議だ.

まぁ,根本的にテロリストを主人公というあたりにかなり無理があるってことだろうなぁ…

原作コミックの作者は本作を嫌っていて「これは自分のコミックと無関係なウォシャウスキー兄弟の作品になってしまった.できることなら,契約金を返して映画から自分のクレジットを消して欲しい」とか言ってるらしいが,たしかに「おそらく原作ってこんな変な話じゃなかったんだろうなぁ」みたいな気はした.