Push

PUSH 光と闇の能力者

キャストを見れば明らかだが,けっこうな予算をかけて制作された期待のSFアクション大作だった…はずが,モロにコケてしまったという悲惨な映画.米国で1月に公開された時点で楽しみにしていたら,コケたせいで日本公開がこんな時期になってしまい(ってか,公開されないんじゃないかと思ってた),しかも単館上映に近い扱い.

で,どんなに酷い映画なのかと思っていたら,どことなく "Jumper" を彷彿とさせる出来栄え.政府の裏組織 Division と,それに反抗するグループの超能力者同士の戦いを描いた作品で,"Bleeder" "Mover" "Watcher" "Sniffer" "Pusher" "Shadows" "Stitcher" なる各種の能力者達が,謎のスーツケースを巡って各々の能力で協力しながら戦うという内容.設定もシナリオも悪く無い(むしろ,クライマックスで頭脳を使った心理戦になるという意外な展開はけっこう良いと思う)し,CG映像も悪く無い.キャストだって問題無いし,何が悪いのかわからないが,全体としてイマイチ魅力に欠けるという感じ.

多くの評論家から指摘されているが,悪者側の政府の組織 "Division" や個々のキャラの背景描写が少なすぎる点は,キャラクターに感情移入できないという問題につながっている気はする.それと相反するようだが,どうもストーリーにスピード感が欠ける点も問題だったかもしれない.また,香港という舞台設定は,本作の独特な雰囲気作りには役立ったものの,どうも失敗だったように見える.無難にNYあたりの設定にした方が良かったんじゃないかな…

シナリオ的には続編作る気満々な雰囲気だったが,おそらく無いだろうなぁ.残念.