The September Issue

ファッションが教えてくれること

プラダを着た悪魔」のモデルと言われているアナ・ウィンターが米国版VOGUE9月号の編集で鬼編集長っぷりを発揮する様子を取材したドキュメンタリー映画

まぁカメラの前でどこまでが普段通りなのかは謎だが、本作を見た感想としては、(「プラダを着た〜」のような)イビリ目的の無駄な雑用や自分のプライベートの小間使い的な仕事を振るような人には見えなかった。もちろん厳しいことも言ってるし、言ってることに一貫性が見いだせずに部下が怒るのもわかるけど、基本的に言ってること自体は論理的だし、押し付けとかゴリ押しというよりは、論理的に自分の意見を押し通す感じだ。アナ・ウィンター個人に対しては「切れ味の鋭い人ってのはいるもんだよなぁ」と感銘を受けたが、VOGUEという雑誌に対しては、1名の天才のセンスに全てが委ねられるという編集体制で良いのか?という素朴な疑問を感じなくはない。しかも、あんなイエスマンみたいな連中ばかりじゃ後継者は育たないんじゃないか?

雑誌の編集なんて世界は(当然)全く知らなかったが、想像していたよりももっと多くのクリエイティブさが要求される世界でビックリした。また、(当然、15年ほど前から知識として知ってはいたけど)写真は全てフォトショップで加工する前提で話が進む(例:この写真が良いんだけどモデルの表情がイマイチだから、顔はあっちの写真からもってこよう、みたいな議論をする)あたりなど、いろいろと興味深い映画だった。けっこうお薦め。わざわざ新宿まで行った甲斐があった。