ヒトラーと終戦記念日

昨日のことだが、久しぶりに映画を見た。「ヒトラー〜最期の12日間〜」。公開前から注目していたものの、単館上映っぽい状況だったので「どーしようかなー」と思っていたら、急に川崎で公開されたので見てきたというわけだ。

これを見て、戦争ってやっぱり虚しいもんだと再認識した。やはり、戦争ってのは一人の力で起こせるようなものではなく、一人の狂気と周辺の愚者達によるものだよなぁという感じ。
この映画が、昨今の米国や日本の状況が若干カブって見えるのは気のせいだろうか?(当然、現在の米国については製作者も念頭にあったと思われるが)

このような映画を作れるあたり、日本とドイツの第二次世界大戦に対する認識の違いがハッキリ現れている。今、日本で第二次大戦をこのような形で描いた場合、右翼が非難するのは当然としても、おそらく政治家や著名人の中からも誹謗中傷の声が上がることは目に見えている。というか、左翼からも非難の声は出るかもしれない。つまり、(よく言われていることだが)日本という国は戦争に対して曖昧な立場を取り続けてしまったため、皆が歴史の都合の良い部分だけをつまみ食いして解釈しているわけだ。あれを「侵略戦争じゃなかった」と本気で思っている人がいるのが信じられないが、まぁUFOや宇宙人の存在を本気で信じてる人と同じで、そうなってしまったら手の施しようがない。だから、そうなる前にちゃんと清算するべきだったのだ。

この前FMラジオで聴いた話で、日本で終戦記念日と言っている8/15だが、世界的には8/15なんていうのは何の日でもない。世界では9/2あるいは9/3を「敗戦記念日」と呼んでいる。正確には"Victory over Japan Day"だが、「日本に対して勝利した日」だから、日本から見れば「敗戦記念日」以外の何物でもない。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%82%E6%88%A6%E8%A8%98%E5%BF%B5%E6%97%A5

しかも、正式に降伏したのは9/2なのだから、たしかに9/2あるいは9/3を「終わり」とみなすのが筋だろう。
そして、そう言われて考えると、たしかに「終戦」っていう言葉は何だ?って思う。日本が侵略を試みて最終的に負けた戦争だ。負けたんだから「敗戦」だろう。しかし「敗戦」という事実を認めたくないらしく、なんとなくお盆とくっつけて曖昧にしておこう、というのが当時の政府の方針だったらしい。

ヒトラーは最後に自決をするわけだが、その前に周囲の者には「絶対に全面降伏だけはするな」と言い残して死んでいく。(そもそも、あの状況で自決するあたりが無責任の極みだが、それはさておき)これによって、ヒトラーの死後も「総統の言葉を守って最後の一人まで徹底抗戦」派と「これ以上の戦いは意味が無い」派で意見が分かれる。まさに日本の「国のために死ぬ」という特攻隊なんかと同じ発想だ。死んでも何にもならない。それなのに死ぬ道を選ぼうとする。そんな状況下で「降伏」ではなく「停戦交渉、和平協定」という形に持っていこうとするが、当然、拒絶される。本当にバカな人間の集まりだ。

ということで、映画としては、2時間半にわたって愚者の行動と狂気を見続けるというだけのものなのだが、そこからいろいろ考えさせられる内容だった。

しかし、映画には描かれていないものの、戦争に至る前の過程ではヒトラーも優秀な政治家であったわけだ。そこに、人民だけでなく本人までも洗脳されてしまう熱狂的な何かがあったということだろう。米国にも、無能な政治家どもを騙し、金でメディアを掌握し、まともな教育を受けていない民衆を洗脳し、金のために戦争を始めたクソ大統領がいる。ヒトラーと違うのは、最初から無能だった点だ。大量殺戮兵器はどうなったのだろうか?イラクにはいつ平和が戻るのだろうか?
ヒトラーの夢は、ドイツを未来的・芸術的な都市にするという、非常に美しいものだった。虐殺や戦争などの手段は許されざるものだし、その美しい夢の裏には虐げられる他民族という暗部があるわけだが。ブッシュの夢は金だ。あれだけ金を持っているのに、ヤツは金を生み出すことにしか興味は無い。

今後の世界の行く末に不安を感じる...