今日の映画:ステルス

雨中テニスをやって解散した後、映画 Stealth(邦題 ステルス)を観てきた。ストーリーは近未来(実質的に現代)が舞台で、「人工知能搭載の最新戦闘機の実験機が暴走した」という一文で映画の90%を表すことができる。まぁ、昔懐かしい "Knightrider" の悪役車 KARR がステルス戦闘機になったようなものだ。ただし KITT はいないので人間が相手をするしか無いわけだ。この情報だけだとバリバリにB級臭漂う映画だが、この前たまたま読んだ学会系の雑誌の記事で映画評コーナーがあって、絶賛されていた(といっても、絶賛の理由はVFX技術が中心)こともあるのと、根本的にSF映画が好きなので、とりあえず見てみた。もし映画館に30分前に着いてたらCin City(邦題 シン・シティ)を観てたかもしれないけど。

ということで、ストーリーにはあまり期待していなかったのだが、意外と面白かった。というか、Rob Cohen監督はさすがだ。The Fast and The Furious(邦題 ワイルド・スピード)1作目の時もそうだが、ストーリーの概要は明らかにB級なフィールドなのに映像センスと細かい話の進め方で魅せる。"The Fast .."の後で、Gone in 60 Seconds(邦題 60セカンズ)を観たときにも感じたが、監督のセンス次第で映画ってのは本当に大きく変わるものだ。

本作は莫大な金をかけてるので、VFX技術は当然凄い。(全米公開直前にロンドンで同時多発テロが発生したため、宣伝が自粛になり、結果的にアメリカでは大コケしたが、本来は『期待の大作』だったのだ)専門家ではないから細かいCGの技術はわからないが、とにかく隙の無いCGだった。単なる凄さはさておき、爆発シーンの見せ方や、そういったシーンの効果的な使い方のセンスがずば抜けているところがポイントだ。

しかし残念な点もある。なぜ映画で出てくるコンピュータやプログラムというのは荒唐無稽なものなのだろうか?プログラムとは無関係な謎CG画面をしかめっ面で眺めてるようなシーンを見る度にガッカリする。本作も、せっかくなんだから今風にjavaのそれっぽいコードとか表示した方がもっともらしいと思うのだが…そういう意味で本当にリアリティを追求した点においてはThe Matrix Reloaded(邦題 マトリックス・リローデッドは、さすがウォシャウスキー兄弟と唸らされる。発電所のシステムに侵入するシーン、実在するssh1のセキュリティ・ホールを突いているらしい。たかだか10秒程度のシーンなのに、そのようなリアルな演出をしているところが、ちゃんと実際のハッカーや専門家の意見を聞いて作っている成果だろう。(そんな細かい点を公開初日に発見してしまったオタクの観察力も恐ろしいと思ったが…)逆にSwordfish(邦題 ソードフィッシュ)は最悪だった。ハッカーが主人公&主題なのに、なんでプログラミングがこんな陳腐な描写なの?という気分になる。全体のストーリーはけっこう面白いのに、細かい演出がボロボロで、全体としては「たしかに面白いけど、もっともっと面白くできる話じゃない?」と思える映画なのだが、この"Swordfish"の監督が"Gone in 60 Seconds"の監督でもあるのは偶然だろうか?

最後に、映画内に出てくるコンピュータといえばAppleが定番だが、本作ではvaioがやたらと出てきた。これはやっぱりColumbia Pictures製作だからということだろうが、あまりにも露骨でちょっと笑えた。



PS

ストーリーを真面目に考えると、米軍が他国(仮想敵国)の上空で大暴れするという、非常識極まりない話だ。自分の都合でロシアや北朝鮮に領空侵犯したわけで、非は明らかに米軍にあるのだが、そこは気にせず敵機を倒しまくる。という感じで、冷静に考えれば酷い話ではある。が、SF映画だと思ってそういうところは気にしないで観た。