Enron

Enron:The Smartest Guys in the Roomエンロン破綻の経緯(というか,いかにしてエンロンが世間を欺いて株価を吊り上げていたか)を追ったドキュメンタリー.なかなか興味深い内容だった.

「エネルギー大手企業エンロン粉飾決算がバレて,企業破綻した」と言われても「ふーん」という感じで,今まであまりピンと来ていなかったが… 日本でのエンロン問題の報道は「破綻しちゃったね」で終わりになっているように思えるが,この映画の中では,エンロンがバブルを演出し,赤字を隠蔽し続けた手段,その背後の人間関係などが暴かれている.例えば,数年前のカリフォルニア州の停電+電気代高騰は,赤字を隠蔽しきれなくなったエンロンが,電気代の高騰を意図的に起こす目的で何度も計画停電をやっていたらしい.その電力問題から連鎖的にシュワルツェネガー州知事が誕生したわけだが,その裏でもエンロンが直接的に絡んでいたそうな.

映画中でもコメントされているが,たしかに首謀者連中は非常に賢かった.というか,カリスマ性のある経営者+良さそうにみせかけた数字に対する自由経済マーケットの無力さを思い知らされる.ただ,そこまで暴走を許してしまった背後には,裏があることに薄々は気づきつつも「株価が上がれば全て良し」と敢えて目を背けていた連中や,本件が元で潰れてしまった名門の会計監査法人Arthur Andersenまで,詐欺に相乗りしていた集団が多数いたわけだ.米国では,エンロン株を推していたアナリストから,結果的には赤字隠しに利用されていた銀行投資家まで,とにかく関わった全員が責任を追及された(有罪になったのかどうかは知らないが)ようだ.さて日本のライブドア事件はどうなることやら.

#しかし,散々「俺が会社を儲けさせてる」みたいな顔してるクセに,いざヤバくなると「俺は知らなかった.〜が勝手にやったことだ.知らないことの責任は取れない」とか「上司の〜は了承済みだった」とか責任の押し付け合いになるのは,どの国でも同じやね.