まぁ社長も大変なんだろうが…

日航の社長が年収960万とかいうニュース,きわめて中途半端にしか見えない.おそらく,伊藤忠の丹羽社長(当時)と同じ考えで「まずは率先して自分が痛みを受ける」ってことだとは思うが,丹羽社長は完全無給にした上で電車通勤だった(たしか手弁当だったような気がする)わけで,そりゃ全然違うよなぁ.

おそらく本人は「960万=部長の最低ライン=最底辺まで下げた」って意識なんだろうが,それじゃモロに金持ちの理屈だろ.丹羽社長の場合は,給与を完全にゼロにしたからこそ,平社員まで含めて全社員にインパクトを与えられたわけだ.一方,年俸960万じゃ,もっと低賃金の連中は社内に大量にいる(特に地上勤務とかを見ればメチャメチャ多いはず)わけで,そんな中途半端なことやっても「単なるカッコ付け」にしか見えないんじゃないかねぇ.しかも今まで高給もらい続けてきてるのは明らかなわけで,赤字経営の会社で過去に高給を貰い続けてきたくせに「それでも無給レベルまで自分が痛みをかぶるつもりは無い」っていう本心を露呈してるだけのような…

ちなみに丹羽社長が無給になったのは就任直後だったはずだから,自分より前の時代の赤字のために,社長としての報酬を全く得ずに努力をしていたわけだ.(だから本人が決心した時は,まず最初に奥さんに「社長になったが,無給になる」と謝ったらしい)しかも他の取締役には「全員が無給になると『制度』になってしまって,マインドが失われてしまう.だから皆は追随するな」と命じたり.インタビューで「無給じゃワリに合わなくないですか?」と聞かれて「業績を回復させたら,皆が羨むくらいの高給をもらいますよ.ははは」と笑って返したり,悲壮感などよりも,爽やかさとリーダーシップを感じさせられるエピソードだった.(ただし,そんな丹羽元社長も,最近はホワイトカラーほげほげの絡みで気の触れたような理屈を主張しているらしいが)

今回のやり方,社内の意識や士気を高める意味では,むしろ逆効果だと思うのだが.いやー,ほんとセンス無いよなぁ.