大いなる陰謀

"大いなる陰謀"(原題:"Lions for Lambs").いかにもロバート・レッドフォード印の映画.3つの地点(アフガニスタン,カリフォルニア,ワシントンDC)で同時進行で起きる1時間程度の3つの出来事を並列で描いた映画.ちなみに原題の意味は作中で明らかになる(公式webサイトの「作品情報」でも明かされている)が,原題に比べて邦題のバカバカしさには悲しくなる.

本作で何度か「イラク911と関係無かったのに,国民の目を欺いて進軍した」と明言しているが,実際には,今でも米国民の相当な割合の人間が「911フセインが黒幕だった」と信じているらしい.というのも,開戦時に米政府はマスコミを利用してプロパガンダを流しまくったが,当時はマスコミも喜んでそこに乗っかっていた.だから,その後ででっち上げが発覚しても,マスコミは(自分達も大賛成した手前)その事実をあまり熱心には報道していないらしい.本作は,そういったメディアの姿勢も批判している.

ちなみに,騙されたままの人々は「え,だって911と関係無いなら,なんでイラクに進軍したの?そんな変なことあるわけないじゃん.しかも今でも駐留して大勢の若者が死んでいってるわけでしょ?今でも駐留してるんだから,911の黒幕はイラクだったんでしょ?」と非常に素朴な理解をしているらしい.そりゃそうだよな.大統領が「テロの報復だ!」と叫びながら明らかにテロと無関係な国へ進軍するなんて思わないよな.

本作の結論というか主張は「こういう国家になってしまった原因は,国民(特に有能な人々)の無関心にある」ということだ.作中では,徴兵制の復活についても議論されている.そして最後には観客に問いが投げかけられるような終わり方だ,ちなみに,オレも自分が軍隊には行きたくは無いが,それでも日本も徴兵制を検討するべきだと思う.昨今の日本の風潮を考えると,日本も徴兵制による戦争の抑止力が必要な状況になってきてるようにしか見えないぞ.

今回の大統領選挙,最近の報道では,オバマとヒラリーの争いの長期化によって共和党のマケインが優勢になってきているとか.おいおい,勘弁してくれ.どこを探せば「次も共和党に政権を渡す」という要素があるんだ?なんか日本の自民党の支持者とかもそうだが,もうちょっと現実を見て物事を考えてくれよ…