Speed Racer

スピード・レーサー.大量の制作費をつぎ込んだ期待の大作だったのに米国の興行成績は全然ダメで,典型的な「コケた大作映画」という扱いになってしまった"Speed Racer".

ウォシャウスキー兄弟が監督ということで,どうも世間では "The Matrix" 的なものを期待されている空気があるが,そういう誤った先入観を持たれてしまったのがコケた原因だと思う.低予算映画 "Bound" でもわかるように,彼らは「単に派手な CG 使いまくりの監督」ではなく,明確に完成品のビジョンをもって映像を製作しており,その過程において道具として CG を使っているだけだ.(これが Lucas の Starwars の新3部作との最大の違いだと思う)

内容としては,子供から大人まで楽しめるように作られている.あまりシリアスになりすぎず,かといって完全に子供向けというわけでもなく,かなり上手いと思う.アニメでも実写でもない映像表現の新境地を開いたと思うし,個人的には CG が見難いとも思わなかった.まぁ "The Matrix" 級を期待するのは無理だが,そんなにコケるほど悪いとは思わない.むしろ「さすがウォシャウスキーだ」と感じさせられた.

ただ,原色が飴細工のように溶け合うあの表現は CG を見慣れていない人には辛いのかもしれないのと,内容のわりに映画自体が長すぎる印象は受けた.それぞれのレースが冗長なので,レースシーンを切り詰めて30分くらい短くした方が良かったのではなかろうか.

なお,真田広之はどーでもいい配役だった.ぶっちゃけ,「あのキャラいらなくね?」みたいなキャラだし,画面に映った時間もおそらく合計で2,3分だと思う.まぁ(オリジナル国の)日本に配慮しての配役ってことなんだろう.