007/慰めの報酬

なぜか年末・年始を避けて今の時期に公開された007の新作 "Quantum of Solace".

. . . どんどん007じゃなくなっていく気が….オープニング映像とかドライマティーニとかのお約束が必要だとかいう話ではなく,作風として,英国のスパイだというアイデンティティが皆無な気がするのだが.前作 ”Casino Royale” はアクションと心理戦という対称的な構成によって独特の緊張感があったが,本作はほぼアクションのみの内容なので,単なるスパイ物のハリウッド映画になってしまった感じ(昔からハリウッド映画ではあるが).もちろん面白いことは面白いが,別に007じゃなくても良いというか,例えばアメリカ人が主役の "XXX" シリーズとかでも成立する映画だよなぁ.

それと,おそらく最近流行な演出を狙ったのだと思うが,冒頭のアクションを手持ちカメラで撮影した映像の手ブレがあまりにも強すぎて,すげー見にくい.意図的に入れたとしか思えないレベルの手ブレなのだが,TV画面で見る "24" と違って,映画の大画面であんなにブレたら見にくくてしょうがないぞ.

という感じで,007映画としてはイロイロと不満はあるが,1時間50分という短さにジャストフィットした引き締まった内容でわりと面白かったとは思う.前作の続き(本作の始まりは前作の1時間後らしい)として,本作で一応は完結したので,ここでリセットなのだろう.Daniel Craigは完全に新世代の007になったと思うので,今後も続けて欲しいところだ.