The Soloist

路上のソリスト

予告編を見ると「新聞記者とホームレスのソリストの心の交流や友情を描いた感動作」みたいな感じだが,そんなに小奇麗な話ではない.

新聞のコラムのネタに困って,たまたま路上でバイオリンを弾いていたホームレスを紹介した主人公が,最後には自分の生き方まで変えてしまうというような話だが,実はそれほどドラマチックな展開は無い.どちらかというと,主人公は手を引くタイミングを逸してズルズルと巻き込まれていって,最後の最後になって目が覚めるという感じだ.本作の主人公である新聞記者が書いたコラムの書籍が原作なのだが,自分の利己的,打算的な面まで正直に描写しており,中盤の描写などは非常にリアルだ.

鑑賞後に残る感想としては,人種,精神疾患,経済力などに起因する社会的弱者に対する差別についての問題提起という印象が強かった.少なくともオレの感想は,わかりやすい「感動作」という感じではないなぁ.