えみねむ(続報)

やっぱ引退するっぽい。マネージャが明かしたらしいので、少なくとも現時点で引退する計画が動いているのは確かだろう。しかし、Jay-Zの例もあるように、引退宣言後にもスポットライトを浴びるようなことを続ける可能性はあるだろう。
ここで重要な点がある。「Eminemとして」(つまり「Slim Shadyとして」とも言える)活動することに疲弊した、というのが引退の事情らしい。Eminem自身が言っているように、Eminemというのは作られたキャラクターであり、Marshall Mathersのアイデアを反映してはいるものの、政治、権力、芸能、メディア、それを見ている市民などの世間の全てをおちょくり、敵を作るという、(基本的にMarshall Mathersの個人的な思想などとは全く別の)キャラを演じ続けていたわけで、それに合わせて曲も書かなければならないわけだ。ここまでビッグになってしまうと、Eminemとして活動することへの限界を感じるのも当然だろう。

個人的には、大統領選の直前に"Mosh"のビデオを緊急リリースしたあたりで、違和感を感じていた。今見ても、あのビデオの出来はすばらしいと思う。しかし、あれはEminemのやることではない。本来ならば「ブッシュもケリーもフセインアルカイダも全部クソだ」的な内容こそがふさわしいはずだ。Marshall Mathers個人としてブッシュに怒りを感じての行動なのは明らかだが、Marshall Mathersとしての自我と、これまでに作り上げてきたEminemというキャラが乖離してきている気がしたのだ。

今後プロデュース業をどういう名義で活動していくつもりだか知らないが、Marshall Mathers名義になるのだろうか?2Pacの映画のサントラなど、プロデューサとしても高評価を得ているだけに、必ず成功するとは思う。しかし、別のキャラを作っての復活劇を期待するのは間違いだろうか?あぁ、そう言えばD12はどうするんだろう?Eminemを辞めるならD12改めD11になってしまうが。(笑)

問題は、もう彼はEminemという化け物に自分のアーチストとしてのアイデンティティを侵食されているということだ。映画"SIMONE"を連想させる状況だ。彼自身が辞めたくても、もう手を引くことは許されないのかもしれない。彼は一生Eminemの呪縛からは逃れられないのだろうか...

ここでふと思ったのだが、Marilyn Mansonは凄い。彼はいつまでアレを続けるつもりなのだろうか?まぁ、Marilyn Mansonの場合は映画"F911"でインテリとしての面も明かされているし、最近は純粋に芸術家としての評価も高まってる上に、Eminem以上に「何やっても許される」あるいは「何やっても顰蹙買う」(笑)的キャラだから、Eminemほど苦しい状態ではないのかな?